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ダンゲダーク管弦楽団第13回演奏会 ミューザ川崎シンフォニーホール

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    学習院OBブラームス合唱団との合同演奏会。数年前からの準備がようやく実を結んだ。何よりも学習院OBブラームス合唱団の数多くのご配慮、経験の浅い自分達を応援して下さろうとするお気持ちがなければ、この演奏会の成功はあり得ない。心から御礼申し上げたい。

    さて、準備、演奏会の運営に際しては語り尽くすことができないので、簡単に留めたい。2つの組織が1つのイベントを成し遂げるには、通常の2倍の準備では収まらない。オーケストラと合唱団の違い、世代の違い、その他細かな習慣の違い、これをどのようにして整理するか。月に1度のミーティングはもとより、瑣末な事項と思われることでも、1つのマニュアルに落とし込むことで直前の準備を進めた。1冊のマニュアルを全スタッフが共有する。その作成の段階で都度、問題点を摘み取ることができた。スタッフ用のマニュアルは約25ページ。これが完成すれば、後は本番を迎えるのみである。直前の1週間は、通常の演奏会よりも時間にゆとりがあった。

    当日の運営は、優秀なスタッフに任せる。お手伝いの方を含め、事前の準備に相当な時間をかけたことが伺い知れる。ここにもはや自分の存在は必要ない。

    もちろん、細かいことを言えばキリが無い。多くの方からご指摘を頂いており、1つ1つ改善したい。ただし、完璧な組織・体制は追及しない。自分たちのやることはあくまでもアマチュアの域に留まるものであって、それを超える完璧な組織・体制を求れば、どうしてもひずみが出る。より良い演奏を目指し、そのための体制を整えることは当然なるべきことであるが、時間には限りがあり、限られた時間の中でできることをやれば良い。全員が他のメンバーをフォローする、そんな組織でありたいと思う。

    立場上、運営面に多くの力を注ぐことになる。しかしながら、自分に課せられた演奏者としての役割は重い。ベートーヴェンの9番ともなればなおさらのことである。

    ところでこの曲のティンパニは第2楽章と第4楽章が注目される。第2楽章はソロが連続するし、冒頭のソロは、短調の第3音のFであり、短調であることを決定するという極めて重要な役割を担っている。一方、第4楽章も冒頭からティンパニの轟音が鳴り響く。

    しかしながら、この曲の第1楽章と第3楽章こそが、ティンパニストとしての真価を問われるところであり、かつ、オイシイ場面でもある。まず第1楽章。緊張の連続である。自分の体の中を「32分音符漬け」にして、ひたすらテンポキープに徹し(これはアマチュアの場合のみであろうが)、曲の移り変わりでポイントとなる音を発する。旋律に似た動きもあり、微妙な表情をつける。これほどまでに緊張を強いられる曲が他にあるだろうか。マエストロは、練習番号Kの部分について、譜面どおり演奏させて下さった。過去にはない無い経験であり、ティンパニスト冥利につきる。一方の第3楽章は、ティンパニという楽器がいかに美しい音を出すのかを披露する場面である。心境はコントラバスのピッチカート。ティンパニという楽器は極めてシンプルである。シンプルであるからこそ、美しい音には深みがあって感動が大きい。

    第3楽章演奏中、あと何回、この曲を演奏することができるのか、という邪念がよぎった。最後かもしれない、と思ったときに、今までにない寂しさが自分の中に押し寄せた。


    ベートーヴェン「交響曲第9番」(Timpani)
     ソプラノ:緑川 まり
     アルト:菅 有実子
     テノール:井ノ上 了吏
     バリトン:末吉 利行
     合唱指導:半田 曉
    シューマン「序曲、スケルツォとフィナーレ」(Timpani)

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