
銀行の取締役専務執行役員として、そして、ラグビーの日本代表として活躍し、惜しまれながら2006年に急逝した宿澤広朗氏のエピソードを描いた1冊。「努力は運を支配する」「勝つ事のみ善である」という自らの座右の銘を、同氏はそのまま実践している。
この本には同氏についての逸話が盛り込まれているが、その中の1つに以下のようなくだりがある。
この逸話から宿澤はなにを部下に伝えたかったのか。
「偉いひとの前では、言いきらなければならない。ああでもない、こうでもない、と自身なさそうに言うと、信頼されない。形容詞は少なく、できるだけシンプルに答えるのがいいのだ。」
と宿澤は説明したという。言葉を濁したり、先に逃げを打ったりしてはならないと日ごろから宿澤は肝に銘じていたのであろう。部下にたいしても「きみたちも自信をもって断定的に言えるよう、仕事に精進してくれ」と暗に伝えたかったようである。
相手が「偉いひと」であるかにかかわらず、自分は、妙に形容詞をつけまくる悪癖がある。宿澤氏が自分の上司であったら激怒される毎日に違いない。